
スクリーン印刷FAQ
印刷の二次加工
スクリーン印刷をした後に抜き加工を行うのですが、印刷の取り数と品質についての関係性について教えて?
印刷の取り数と品質についての関係性については、以下の点が上げられます。
1. 基材の寸法変化や熱収縮の影響
🔵シートサイズが大きくなると、基材の伸び縮みリスクが増す
取り数を増やす=1シートあたりのサイズが大きくなりがち
→ シート全体の寸法変化(熱収縮やテンションによる伸び)が起こりやすくなる。
たとえば多色印刷や乾燥工程の繰り返しがある場合、大きいシートは部分的な温度差が生じやすく、その差が位置ズレのリスクや不均一な収縮を引き起こす可能性があります。
🔵面付け位置ごとの寸法ばらつき
大判になるほど、シートの中央部と周辺部でわずかに収縮率が異なる場合があり、最終的な抜き位置や印刷位置に差が出る可能性があります。
とくに打ち抜きの位置精度が厳しい(形状が複雑、隣のパーツとの隙間が狭いなど)場合は、シート全域で均一な寸法精度を確保しなければならず、面付け数が多いほど難易度が高くなります。
2. 印刷品質(位置合わせ・色ズレ)への影響
🔵多面付け時の版の見当合わせ
取り数が多いと、同じ版を使って一度に多数の絵柄を印刷するため、一部のデザインで微小なズレが発生しても、他の箇所への影響が大きくなる場合があります。
特に多色印刷では、各色の版合わせがシビアになるので、シート全体で見当を合わせるための調整が増え、作業が煩雑になります。
🔵スクリーンのテンション・スキージ圧の影響
大判のスクリーンメッシュを使う場合、全面の張力を均一に保ちにくくなることがあります。
印刷中のスキージの動きやオフコンタクトが広範囲に及ぶため、端部と中心部で転写されるインキ量やにじみが変わってしまうリスクが高まります。
取り数を少なくする(シートを小さくする)と、比較的安定したテンション管理がしやすく、均一な印刷品質を得やすくなります。
🔵インキの乾燥・硬化条件
シートが大きい場合、UV硬化や熱乾燥などの設備で均一に熱を当てづらくなることがあり、乾燥ムラや収縮ムラが発生する原因になる可能性があります。
取り数を多くして1シートで効率を上げても、乾燥不良や色ズレが増えるようでは結果的に歩留まりが下がり、生産性を損ねる場合があります。
3. 打ち抜き精度・加工歩留まりへの影響
🔵打ち抜きトンネル(抜き代)やブリードの確保
スクリーン印刷後に抜き加工を行う際、それぞれの製品間や製品周囲にある程度の抜き代(余白)を確保しなければなりません。
取り数を増やす=各製品間の余白が狭くなる傾向があり、若干のズレや変形があると隣の製品と干渉しやすくなります。
面付けの最適化を行う際は、印刷〜乾燥〜打ち抜きまでの工程で発生する「最大の寸法誤差」を見込んで余白設定を行う必要があります。
最終的には「打ち抜き時の公差」「印刷精度」「量産スピード」のバランスを見極め、試作段階で十分にデータを取った上で、最適な面付け数(取り数)を決定することが重要です。
特にPETなどのフィルム基材では、寸法変化(熱・テンション)や多色印刷のズレ対策が大きなポイントとなります。実際の設備状況や製品公差要件に応じて、どの程度の取り数であれば歩留まり良く品質を確保できるかを見極め、品質面と生産効率面のバランスを最適化してください。